虫歯や歯周病にかかっていないにも関わらず、歯科を受診するとなると、余計な医療費がかかってしまう、とマイナスにとらえてしまう方は意外に多いものです。確かに、本来であれば、かからない医療費ですので、短期的に考えると出費がかさむこととなります。
けれども、定期検診を怠って知らず知らずのうちに病気になると、予防医療で支払う医療費の数倍の費用がかかることも珍しくありません。症状が進行していれば 治療費はそれだけ高額になります。何より、かけがえのない歯質を削らなければならず、最終的には歯そのものを失いかねません。
病気によって生じた欠損は、さまざまな装置で補うことができますが、実際治療にかかる費用は1本あたり、数万から数十万円にものぼります。そういう意味で、予防歯科に通うことは、結果として大切な歯を守りながら生涯医療費を少なく抑えることにつながるといえるのです。
検診やメインテナンスは、一度受けただけでは、それほど大きな効果は得られません。少なくとも数ヶ月に一度、定期的に受診することで、大きな予防効果を得ることができるからです。そこで重要となるのが検診を受ける頻度です。
虫歯や歯周病にかかるリスクは、人によって大きく異なります。具体的には、「細菌」「歯質」「糖質」「時間」といった4つの要素が大きく影響し、虫歯が生じます。ですから、最も効果的な受診頻度や予防処置を決定するには、患者様お一人おひとりについて、この4つの要素を調べる必要があるといえます。
当院で実施する歯科検診では、次に挙げる「虫歯のリスク因子」と「歯周病のリスク因子」を調べることで、どれくらい病気にかかりやすいかを把握することが可能となっております。
リスク因子とは、細菌増殖を促す原因や細菌の数そのものを意味します。
お口の中に生息する細菌の種類や数、唾液の量などはサリバテスト(唾液検査)や歯周病菌検査などによって調べることができます。下の図のように、細菌の多寡を目で見て確認することが可能です。
⇒進行した虫歯がある場合は、治療終了後に虫歯が再発することのないようメインテナンスへ移行し、口腔状態を管理します
⇒バイオフィルムのような歯磨きでは落とすことができない汚れを除去することで歯周病予防につなげます
⇒矯正装置の周りに堆積した汚れなどをきれいに取り除き、お口の中を清潔に保ちます
⇒定期的なメインテナンスで病気の再発リスクが低下します
⇒口腔疾患を予防することでお口ひいては全身の健康も維持・増進されます
⇒細菌の温床となる歯垢を一掃できるので虫歯予防に役立ちます
⇒歯周ポケット内の汚れを取り除くことで歯周病予防に寄与します
⇒お口の中の汚れが一掃されることで爽快感を味わうことができます
⇒表面に付着した汚れが取り除かれ、歯がツルツル、ピカピカになります
⇒フッ素塗布を行うことで再石灰化を促進し歯質を強化することができます
患者様に正しい歯磨きの方法を身に付けていただきます。お一人おひとりの歯ならびや磨き方、クセなどから、最適といえるブラッシングの方法をアドバイスいたします。
咬み合わせが悪いと、食べ物を効率よく噛むことができず、そのまま飲み込んでしまうことも珍しくありません。こうした場合消化管に過剰な負担がかかるため、病気になるリスクが上がります。片側で噛むクセは、顎関節症の原因にもなり得ます。そんな噛み合わせのバランスをチェックすることで、全身の健康に悪影響を及ぼしていないかをお調べします。
虫歯になりやすい奥歯の咬合面(咬み合う部分)をレジンと呼ばれるプラスチックで埋める処置です。表面の凹凸が改善され滑沢となることから、食べかすや歯垢がたまりにくくなります。咬合面が複雑な乳歯や生えて間もない6歳臼歯に有効です。
歯の表面にフッ素を塗布することで再石灰化を促します。フルオロアパタイトと呼ばれる特別な構造に作り変えられるため、歯質の強化にもつながります。ちなみに当院では、フッ素塗布に費用をいただいておりませんので、お気軽におっしゃってください。
インプラントは、口元の見た目も実際の噛み心地も本物の天然歯に限りなく近い人工歯です。しかし、治療後の管理やケアを怠ると、さまざまなトラブルが生じてしまうため、こまめなケアを心がけましょう。とくに注意が必要なのが、人工歯根の脱落へとつながる歯周病です。
そこで当院では、人工歯根を埋入して、治療が完了した後のメインテナンスに力をいれております。定期的にご来院いただき、適切なメインテナンスを受けることで、装置の寿命を10年、20年と延長させることは難しくありません。せっかく苦労して埋め込んだ補綴物ですから、一生涯使い続けることができるようしっかりケアを行いましょう。
「インプラントの歯周病」とも呼ばれる病気です。フィクスチャーを支えている歯ぐきや骨が歯周病によって破壊されていく病気です。進行すると支持能力が失われ、上部構造がグラグラと揺れ動いたり、最終的には抜け落ちたりします。
また、この治療法はすべてが人工物であることから、歯周病に気付くのが難しいというリスクを抱えています。また、天然の歯よりも汚れが付着しやすいので、日々のセルフケアと定期的なメインテナンスが欠かせないのです。
いつまでも義歯による生活を維持するためには歯科医師による定期的なメインテナンスが必要です。義歯の状態と口腔内のチェックを行い、常に正しい適合状態を確認しましょう。
よく噛める入れ歯ほど、人工歯が摩耗していきます。その結果、徐々にかみ合わせが変化し、適合が悪くなることで、粘膜を傷つけることも少なくなありませんので、少なくとも1年に1度は歯科医院でチェックを受けましょう。
部分床義歯は、残っている歯と歯ぐきの状態を定期的にチェックすることが大切です。併せて、クリーニングも受けるようにしましょう。
適合の悪い義歯を我慢して使い続けると様々な悪影響を及ぼします。少しでも違和感が生じたら、遠慮せずにご相談ください。
義歯は、ひとつとして同じものはありません。ケアの仕方も使い心地も患者様お一人おひとりで異なりますので、何か気になることがあればいつでも当院までご連絡ください。常に心地よく、安心したベストな状態でお使いいただけるようサポートいたします。
自分にピッタリの義歯をいつまでも長持ちさせるためには、適切なケアやメインテナンスがとても重要です。ここでは、ケアの仕方やメインテナンスの方法や必要性についてご説明しましょう。
一般的な歯ブラシとは異なる、義歯専用の歯ブラシです。義歯を傷つけることなく、効率的に汚れを落とすことができます。天然歯より汚れが付着しやすいので専用の歯ブラシを使用することをお勧めします。
義歯に付着した汚れは、ブラッシングのみで落とすのは非常に難しいです。義歯洗浄剤を活用することによる「化学的な除去」も必須といえます。
眠る前には、必ず義歯を外しましょう。1日中を装着していると、お口の中の粘膜や顎にかかる負担が過剰となります。装着時間をしっかり守ることで義歯を長持ちさせることもできます。
義歯を構成しているレジンは、乾燥によって変形したり、変質したりします。お口から取り外した際は、必ず義歯ごと水に浸けて保管するようにしましょう。
お口の中の環境は、日々大きく変わっていきます。その結果、以下に挙げるような症状や不具合が生じることがありますので、その都度、適切な処置・調整を受ける必要があります。
義歯は、天然歯と比べて表面に傷が付きやすく、細菌もたまりやすいです。定期的にプロのクリーニングを受けて、セルフケアでは落とせない汚れを一掃しましょう。
続部分床義歯のバネは、使用していく中で徐々にゆるんでいきます。バネがゆるんだまま使用を続けると、歯に過剰な負担がかかり、抜歯の原因となりかねません。
人工歯は、経年的な摩耗や破損が起こります。定期的にチェックすることで、異常を早期に発見・改善することができます。
義歯が合わなくなる主な原因は、「顎の骨の吸収」です。もともと適合が悪い義歯を長期間使用すると、顎の骨がどんどん痩せていきます。そうした症状を抑えるためには、義歯をこまめに調整していくことが大切です。合わない義歯を使用すると様々な悪影響を及ぼしますので、違和感を感じたらお気軽にご相談ください。
歯を失った部分を補う治療法には、「入れ歯」の他にもいくつかあります。 他の治療法と比較しながら、入れ歯の特徴を理解しましょう。