インプラント治療後のメンテナンスは必須です。
2017年2月14日
目次
インプラント周囲炎の原因は主にメンテナンス不足です
インプラント治療は治療後にメンテナンスを怠るとせっかく自分の歯のような嚙み心地を取り戻されても、それを長持ちさせることが難しくなります。インプラント治療と治療後のメンテナンスは切り離すことができません。
天然歯の細菌感染「歯周病」は、歯を失う大きな要因の一つですが、インプラントの細菌感染「インプラント周囲炎」は、インプラント失敗の最大原因と言えます。インプラント周囲炎は、歯周病と同様に口の中の汚れ(プラークや歯石)が原因であり、インプラントをお使いの方は注意しなければならない病気です。
インプラント周囲炎とは?
インプラント周囲炎とは、細菌感染によって歯肉や歯周組織に起こる炎症です。歯肉の炎症から始まり、歯周組織にまで炎症が拡がると、歯槽骨の吸収・インプラントの脱落を招きます。天然歯の歯周病と異なる点は、インプラントには歯根膜などの栄養血管が周囲にないため、抵抗力が弱く、進行しやすいという点です。急速に炎症が拡がってしまうため、重症化しやすいという特徴があります。
インプラント周囲炎の原因
インプラント周囲炎の原因は、プラークや歯石の中に存在する細菌であり、「毎日歯磨きしている」という人でも、感染する可能性があります。歯磨きだけでは、口の中の汚れを100%除去することはできないため、定期的に歯科医院で磨き残した汚れを除去する必要があるのです。そのため、インプラント治療後は、セルフメンテナンスに加え、定期的に歯科医院でメンテナンスを受ける必要があります。普段の歯磨きに加え、定期的にプロによるクリーニングを受けることで、インプラント周囲炎の効果的な予防が可能になるのです。
喫煙もインプラント周囲炎の原因に
インプラント治療を受ける際に、喫煙リスクについても説明しておりますが、喫煙は歯肉の免疫力を低下させ、感染リスクを高めます。
インプラント周囲炎を効果的に予防するには、口の中の細菌を減らすことはもちろん、細菌に負けない歯肉を維持することが大切なのです。
インプラント周囲炎の症状
インプラント周囲炎の症状は次の通りです。
※歯肉炎の症状と似た、進行度Ⅰの病態は「インプラント周囲粘膜炎」とも呼ばれます。周囲炎の初期段階であるため、この段階での適切な治療が望ましいでしょう。
初期症状は自覚しにくいため、歯科医院で行う定期的メンテナンスでチェックを受けることが大切です。定期的メンテナンスは、口の中のクリーニングなどを行うことで予防効果も高まりますが、万一細菌感染してしまった場合の、早期発見にもつながるのです。
インプラント周囲炎は、初期の段階では痛みなどの症状が起こりません。そのため、症状に気付きにくく、気付いた頃には重症化しているケースも少なくありません。
インプラント周囲炎の治療方法
インプラント周囲炎の初期段階である「インプラント周囲粘膜炎」ならば、適切なプラークコントロールを行うことで症状は改善されます。しかし、炎症が歯周組織にまで拡がり、インプラントに汚れが付着するようになると、インプラント表面をキレイにする施術が必要になります。さらに周囲炎が進行して歯槽骨の吸収が始まると(表1進行度Ⅲ 歯肉の退縮)、外科的な処置も必要になってきます。歯肉を切開してインプラントに付着した汚れの除去、歯周ポケットの切除などをしなければならなくなるのです。また、歯槽骨の吸収が著しい場合には骨量を増やす治療が、歯肉の退縮が著しい場合には歯肉を増やす治療が必要になる場合もあります。
インプラント周囲炎を予防するには?
インプラント周囲炎を予防するには、次の3つのことが必要になります。
- 正しいブラッシング方法を習得し、日頃から効果的なプラークコントロールを行う
- 医師の指示に従って、定期的な通院(メンテナンス)を継続する
- 喫煙や食習慣など、インプラント歯周炎のリスクを高める生活習慣を改める
政久歯科醫院では、インプラント周囲炎を効果的に予防するため、メンテナンスはもちろん、ブラッシング指導や生活指導を行っています。
インプラント治療を受けられた多くの患者様には、きちんとインプラントメンテナンスにご来院頂いておりますが、インプラント治療後、快適な口腔環境でトラブルなくお過ごしで、メンテナンスにお越しになられていない患者様、症状がなくてもメンテナンスは必要です。症状が出てからでは遅いのです。
私が22年前に初めてインプラント治療をさせて頂いた患者様は現在80歳。インプラントが6本埋入してありますが、現在も口腔機能に問題なく快適に過ごされています。年に数回のメンテナンスに必ずご来院されていることは言うまでもありません。
インプラントを長持ちさせるためには、ぜひプロフェッショナルによるメンテナンスをご継続ください。