年末のご挨拶|岡山市にある歯医者【政久歯科醫院】
2024年12月30日
皆さまへ
本年もいよいよ残りわずかとなりました。いつも当院をご信頼いただきまして、心より御礼を申し
上げます。
振り返ると実に多くの出来事があった1年でした。醫院を拡大して2年目を迎えた2024年は、患者
さまお一人おひとりに寄り添った質の高い医療を提供するという初心を忘れずに、新しい挑戦を
続けた年でもありました。
今年を象徴するトピックの1つとして、若手ドクターたちの目覚ましい成長が挙げられます。昨年
はまだ緊張した面持ちで診療に取り組んでいた彼らも、この1年で飛躍的にスキルを高め、今で
は堂々とした姿で患者さまに対応しています。患者さまから「若い先生がとても丁寧に対応してく
れました」というお声をいただくたびに、彼らの努力と情熱が確かに実を結んでいると実感してお
ります。
今年は、医院として初めて若手ドクターの海外での研修にも積極的に取り組みました。
ブラジル、イタリア、アメリカの各地を訪れ、世界的に著名な先生方から直接学ぶ機会に恵まれたことは、若い歯科医師にとっては大きな財産となりました。
特にブラジルでは、インプラント治療の最前線であるザイゴマインプラントセミナーに参加し、多くのオペを経験し、最先端技術に感銘を受け、イタリアでは歯周病治療の権威から学ぶことができました。
アメリカでは、先端技術を活用した効率的な治療プロセスについて学び、これらの経験を基に、当院の医療サービスをさらに進化させていく彼らの情熱と手応えを感じています。
こうした研修を通じて得た知識と技術を医院全体に共有し、日々の診療に生かすことで、より高い水準の医療を提供できるよう努めております。また、スタッフ間での学び合いの場も設けることで、チーム全体のスキルアップに繋がったと感じています。
さらに今年は、新しいスタッフが加わり、またスタッフの結婚や妊娠出産などおめでたいことがたく
さんあり、医院全体が一層活気に満ちた一年でした。つわりなどで体調が思わしくない時、お互いを気遣いつつ、患者様最優先で仕事をしている様子をよく見かけました。
患者さまとのコミュニケーションを大切にし、日々真摯に歯科医療に向き合ってくれています。
その姿勢は、私たち全員にとって良い刺激となり、医院全体としてもより一体感を持って診療に臨むことができました。
こうしたチームの成長が、患者さまへのさらなる満足度向上につながることを確信しています。
もちろん、挑戦と成長を支えてくださったのは、何より患者さまの存在です。ご来院いただく際の
温かいお言葉や、治療後に見せていただく笑顔が、私たち全員の原動力となっています。また、
日々の診療において「ありがとうございます。またお願いします。」と言っていただけることは、私
たちにとって何よりの喜びです。
改めて、皆さまからの信頼があってこそ、この一年を無事に乗り越えることができたと深く感謝申し上げます。
2025年に向けて、私たちは新たな技術の導入と、更なる医療技術の充実を図りつつ、患者さま
にとってより安心で信頼できる医療を目指して努力してまいります。また、地域医療への貢献を
忘れず、通院できない患者様にご自宅や施設で良質な歯科治療を受けていただけるよう、訪問
歯科の充実にも力を入れてまいります。
皆さまが気軽に相談できる「信頼される歯科医院」であり続けるために、スタッフ一同全力で取り組んでまいります。
最後になりますが、年末年始の寒さが一層厳しくなる中、どうぞお身体に気をつけてお過ごしくだ
さい。
皆さまが笑顔で新年を迎えられますことを心よりお祈り申し上げます。
2025年も引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
良いお年をお迎えください。
医療法人社団BLISS 政久歯科醫院
院長 政久直紀
政久歯科醫院 院長
院長:政久 直紀
経歴
- 広島大学歯学部 卒業
- 医療法人光済会 森本歯科医院 勤務
- 医療法人明生会 明生会歯科診療所 院長
- 政久デンタルオフィス 開業
- 政久歯科醫院 移転開業
- 医療法人社団BLISS 開設
抜歯後の適切な対応について|岡山市にある歯医者【政久歯科醫院】
2024年12月24日
当院では、なるべく「抜歯を回避する治療」を行っていますが、どうしても歯を残せない場合もあります。
歯を抜いた後は、術後の回復のため、また残っている歯の健康を守るため適切な処置をする必要があります。
今回は、歯を抜いたあと放置するとどうなるのか?また抜歯後の治療の流れた注意点などもお伝えします。
抜歯をしたあと放置するとどうなってしまう?
大きな虫歯で歯の大部分を失ってしまうと、歯を抜かざるを得ない場合があります。 抜歯後は、「入れ歯」「ブリッジ」「インプラント」いずれかの方法で、歯の機能を回復させる治療が必要です。
歯を失っても目立たない場所だと「そのまま放置していても気にならない」と思うこともあるかもしれませんが、放置するのは良くありません。
周囲の歯に悪影響が出たり、噛み合わせ全体が崩れてしまうこともあります。
悪影響について詳しく解説していきます。
空いたスペースを埋めようと動いてしまう
抜歯した部分は、空いたスペースとなり、周囲の歯が空いたスペースに向かって動いてきてしまいます。
噛み合わせが悪くなる
噛み合う位置の歯や両隣にあった歯が動くことにより、歯列(歯並び)が乱れ、噛み合わせ全体が悪くなる可能性があります。
一部の歯に大きな負担がかかるようになれば、歯が欠ける・割れる、摩耗するなどのリスクが高くなります。また咀嚼に問題が生じる場合や、顔貌(お顔の見た目)自体に歪みが出てしまうことがあります。
治療後の痛みや腫れはどれくらいで治るのか
抜歯は外科処置で歯茎の中や顎の骨に触れる処置です。そのため、治療後は痛みや腫れが起きることがあります。しかし痛みや腫れは2〜3日で治ってくるので、心配ありません。
痛みのピークは抜歯翌日で、その後は徐々にひいてきます。腫れのピークは痛みより少し遅れて現れ、抜歯から2日後くらいになることが多いでしょう。
抜歯後3日から1週間ほどで、痛みも腫れも治まってきます。
わずかに鈍い痛みが残ることがありますが、長くても2週間程度で改善するでしょう。
個人差がありますので、抜歯後は様子を見ながら安静に過ごすようにしてください。
痛みや腫れが治らない場合や、出血が止まらない場合など、異常を感じたら早めに歯科医院を受診することをおすすめします。
抜歯後の注意点
歯を抜いた後は、治癒を良好に進め、痛みや腫れを長引かせないためにいくつかの注意点があります。
飲酒・激しい運動・入浴を控える
抜歯後は血の巡りが良くなる行為を控えることが重要です。血流が良くなると、痛みや腫れが強くなる可能性があります。そのため、飲酒や激しい運動、入浴は避けましょう。お風呂も湯船には浸からず、シャワー程度にしましょう。
患部を指や舌で触らない
抜歯した部位が気になるかもしれませんが、指や舌で触るのは避けてください。触ってしまうことで痛みや腫れが強くなる場合や、患部が細菌感染を起こす可能性があります。
うがいを極力しない
抜歯後の穴には血餅(けっぺい)と呼ばれる血の塊ができ、それがカサブタのような役割を果たして治癒を促します。しかし、強いうがいを繰り返すと血餅が剥がれ、治りが悪くなることがあります。ブクブクと強いうがいをはもちろん、 極力うがいを控えていただきます。
処方された薬を用法通りに飲む
抜歯後には、痛み止め(鎮痛剤)や抗生物質が処方されることが多いです。痛み止めは、痛みがある時に医師の指示通りの間隔を守って服用してください。抗生物質が処方された場合は、抜歯した部位の感染を防くために痛みがなくなった後でも必ず全て飲み切ることが大切です。
当院での抜歯後の処置について
抜歯後は、止血状態を確認したうえでご帰宅いただきます。その後、必要に応じて消毒などのために来院していただくことがあります。
消毒
抜歯した部位に異常がないかを確認し、消毒を行います。
通常、抜歯の翌日または翌々日に受診していただくことが多いです。
抜糸
抜歯の状態によっては、処置の最後に縫合を行うことがあります。
この場合、抜歯から1週間程度で抜糸処置を行います。
抜歯窩(ばっしか)の治癒経過の観察と治療計画
抜歯後の傷跡は、1か月から1か月半ほどで完全に歯茎に覆われます。歯の根があった部分に骨が形成されるにはさらに時間がかかりますが、抜歯後1年ほどで骨も完全に出来上がります。
抜歯を悩まれている方へ
いかがでしたか?今回は抜歯後の適切な対応についてご紹介しました。
抜歯した部分は、「入れ歯」「ブリッジ」「インプラント」のいずれかの方法で治療を行い、歯があった部分を補う必要があります。個人差があるため歯の治癒状態を確認しながら治療を進めますが、抜歯した歯が前歯の場合など、早めに見た目を回復する必要がある場合は、抜歯と同時に仮歯を入れるなどの処置を行うことも可能です。
また、インプラントを希望される場合は、抜歯前から治療計画を立てる必要があります。抜歯と同時にインプラントの施術を行う場合もあるため、事前に詳しい治療相談や治療計画のための検査を実施いたします。
「この歯は抜かなければならない、と言われて怖くなった」と抜歯することを悩まれている患者様も多くいらっしゃいます。セカンドオピニオンも受け付けていますので、一度ご相談ください。
抜歯を回避できたケースはこちら⇨
政久歯科醫院のインプラント治療についてはこちら⇨
政久歯科醫院の入れ歯治療についてはこちら⇨
政久歯科醫院のセラミック治療についてはこちら⇨
この記事の監修者
院長:政久 直紀
経歴
- 広島大学歯学部 卒業
- 医療法人光済会 森本歯科医院 勤務
- 医療法人明生会 明生会歯科診療所 院長
- 政久デンタルオフィス 開業
- 政久歯科醫院 移転開業
- 医療法人社団BLISS 開設
子どもの歯並びは遺伝するの?|岡山にある歯医者【政久歯科醫院】
2024年12月16日
〜将来の歯並びが心配・・・今だからこそできること〜
日々成長していくお子さまを見守る中で、昨日とは違う新たな一面を発見できることは、親としての喜びですよね!しかし、成長を喜ぶ一方で、さまざまな不安を抱えることもあるのではないでしょうか?
「うちの子、将来歯並びが悪くなってしまうのでは」と気にされる方も多いかもしれません。 今回は、そのような疑問をもたれた方に向けて「歯並びは遺伝するのか?」という疑問にお答えしながら、お子さまの歯並びを良い方向へ導くためにできることをご紹介します。
歯並びは遺伝するって本当?
結論からお伝えすると、歯並びそのものが直接遺伝するわけではありません。 遺伝とは、親の特徴が子どもに受け継がれる現象を指します。血液型や髪質、身体的特徴など、さまざまな特性が遺伝する中で、アゴの骨の形や大きさ、歯のサイズや本数といった「歯並びの土台」となる部分も親から子に遺伝することが考えられます。
例えば、
【アゴが小さい+歯が大きい=歯が並ぶスペースが足りず、歯並びがデコボコする】
といったケースでは、不正歯列(ふせいしれつ)と呼ばれる歯並びの一種で、叢生(そうせい)になる可能性が高まります。
つまり、遺伝的な要素が歯並びに影響を与えるのは確かですが、歯並びのすべてが遺伝で決まるわけではありません。
遺伝以外に歯並びや噛み合わせを左右する要因とは?
人の行動は90%以上が無意識で行われているといわれています。 例えば、歯ブラシをどちらの手で持つかなど、意識せずに習慣化している動作がほとんどではないでしょうか。
また、「おはよう」「いただきます」「ごちそうさま」などの挨拶や、帰宅時の手洗いうがい、食後の歯磨きも、小さい頃に教わったり周りの大人を見て、真似をすることで、自然に覚えた習慣です。これらは、日常の中で当たり前のように行っている無意識の行動の一部といえます。
こうした良い習慣が身についていると、親としても嬉しいものですよね。一方で、実は歯並びや噛み合わせに悪影響を与える「悪習癖(あくしゅうへき)」と呼ばれる行動もあります。この悪習癖は無意識に行われることが多く、本人も家族も気づいていない、または気に留めていないケースがほとんどです。
悪習癖の例
- ・指を吸う、指を口に入れている
- ・口呼吸、口が開いている
- ・頬杖をつく、猫背になるなどの姿勢の癖
- ・柔らかい食べ物を好んで食べる
- ・舌の使い方
- ・爪を噛む
これらはたくさんある悪習癖のほんの一部ですが、癖が歯並びや噛み合わせに悪影響を与える可能性があるため、注意が必要です。
生活習慣と歯並び・噛み合わせの関係
指しゃぶりや口呼吸
歯並びが乱れるだけでなく、アゴの発育にも悪影響を及ぼします。
頬杖や猫背
顎の位置が変わることで歯並びが悪くなる可能性があります。
柔らかい食べ物ばかり食べる
舌本来の動きを果たさなくても、食物を咀嚼(噛む)することが出来るため、顎の発達が妨げられて、歯並びに影響を与えることがあります。十分に噛む必要がないため、アゴの発達が妨げられ、歯並びに影響を与えることがあります。
舌の使い方や発音
舌をいつも歯の外に出ていたり、舌で歯を押す癖は、歯並びや噛み合わせを歪ませる原因になります。
爪を噛む
歯並びや歯を支える骨に負担を与えることがあります。 「えっ、こんなことで歯並びや噛み合わせに影響が出るの?」と思われるかもしれませんが、実際に弱い力でも継続的に歯やアゴに影響を与えることで、歯並びや噛み合わせが変化してしまうことがあります。
※ワイヤーなどの固定器具を使う歯科矯正治療も、この原理を利用して歯やアゴの位置を整えています。
お口のトレーニングで歯並びや噛み合わせをより良い方向へ
上記のような悪習癖が見られる場合や、歯並びが気になる場合には、お口のトレーニングがおすすめです。直接歯並びを変えることは難しいですが、歯並びが悪くなる原因を見極めトレーニングをすることで、悪影響を取り除き、アゴの成長を理想的なバランスに導くことができます。
歯科医院で指導を受けられるトレーニング例
唇を閉じる練習
口呼吸を防ぎ、歯並びを整える効果が期待できます。
舌を正しい位置に置く練習(舌癖の改善)
舌の悪い癖を改善し、歯並びをよくする効果が期待できます。
アゴを動かす運動(噛み合わせの改善)
顎の筋肉を鍛え、噛み合わせを改善する効果が期待できます。
2018年から「小児口腔機能発達不全症」として保険診療の対象となり、専門的な指導やトレーニングを受けやすくなっています。
まとめ
歯並びや噛み合わせは、遺伝と生活習慣の両方が複雑に影響して作られます。遺伝的な要因は変えられませんが、生活習慣は意識・行動(トレーニング)することで改善可能です。
お子さまの歯並びや噛み合わせが気になる場合は、早めに歯科医院を受診し、専門家のアドバイスを受けることが大切です。
歯科医院では、歯並びや噛み合わせの状態を詳しく検査し、適切なアドバイスや治療を受けることが出来ます。大切なのは早期発見・早期治療です。
小さな頃から意識して良い生活習慣を身につけることで、将来のお子さまの歯並びや健康に繋がります。
3人の子育てを振り返ると、「知っていたらもっといろいろできたのになぁ」「あの時、こうしていればよかった」と感じることが日々あります。 お口の健康に関することはもちろん、学習面や声かけ一つをとっても、反省や気づきはたくさんあります。
それでも、お母さんとして、その時できることを精一杯やってきたと自分では思っています。 時には、ものすごく後悔することもありますが、1人目でも3人目でも、子どもはそれぞれ個性があり違います。
そのため、その子に起こる出来事もすべて異なり、対応も一つひとつ異なります。 上の子の経験を参考にすることはありますが、子育てにマニュアルはなく、正解もないと私は考えています。
たくさん悩むこともありますが、そんな時私は、
①できるだけ多くの情報を集める(家族や友人、専門機関に相談したり、ネットで情報収集したりする)
②①を参考に、とことん話し合う(対象の子どもやパートナーなどと話す) この2つを心がけています。
問題を解決しようとする時、自分の経験だけを基準にしてしまうと、その子の意思や考えを十分に尊重できないこともあります。
だからこそ、さまざまな考え方や捉え方を知り、そのうえで話し合うことで、お互いに納得できる答えを一緒に見つけられるのではないでしょうか。 少し話がそれてしまいましたが、ここまでブログをお読みくださった方の参考になれば嬉しく思います。
お子さまの健やかな成長のために、ぜひ一緒にお口の健康を守っていきましょう!
当院では、お子さまのお口の健康をサポートするためのさまざまな取り組みを行っております。どうぞお気軽にご相談ください。
政久歯科醫院の子どもの矯正歯科についてはこちら⇨
この記事の筆者
歯科衛生士:中島加奈
プロフィール
- 歯科衛生士歴22年
- 米粉ナチュラルアドバイザー
- 3児の母
- お口育て教室・離乳食講座開催
この記事の監修者
院長:政久 直紀
経歴
- 広島大学歯学部 卒業
- 医療法人光済会 森本歯科医院 勤務
- 医療法人明生会 明生会歯科診療所 院長
- 政久デンタルオフィス 開業
- 政久歯科醫院 移転開業
- 医療法人社団BLISS 開設
歯医者さんは、お口の定期管理・予防処置をする場所へ|岡山にある歯医者【政久歯科醫院】
2024年12月9日
皆さんはどのような時に歯医者さんへ行きますか?
歯の痛みなど困ったことが起こった時でしょうか?
実は今「予防歯科」という言葉が知られるようになり「痛くなる前に歯医者さんに行く」「良い状態を維持するために定期的に歯医者さんに行く」と通院される方が増えてきました。 今回は、そんな時代の変化や患者様の意識の変化、また予防歯科のメリットや歯医者選びのポイントまでをお伝えします。
治療メインの場所から予防をする場所へ
日本には「むし歯の洪水時代」と呼ばれる時期があったことをご存じですか?
今から約50〜60年くらい前、日本中にむし歯のある子どもが溢れていました。また、歯科治療の知識・技術が未熟で「痛みが出た時・困った時」の対症療法のみが行われていました。
私の親世代(70代)の選択肢は、「むし歯になってから歯医者さんへ行き、治療するか抜歯するか」でした。実は、私も小学生の頃、毎年のように学校の歯科検診で「C(むし歯)」と書かれたお手紙を持ち帰り、歯医者さんへ連れて行かれていました・・・さすがに、歯をすぐ抜くようなことはなく削って詰める治療をしてもらっていました。今思えば、歯磨きをした記憶はあまりなく、デンタルフロスの存在すら知りませんでした・・・柔らかいミルク飴を食べて銀歯が取れることもありました。
知識があれば、むし歯予防もできたはずですが、私の幼少期は世間的にも家庭の中でも、むし歯予防の概念が浸透してなかった時代で「歯医者さんは、薬品の匂いがする、歯を削られる場所」と認識していました。
近年、「むし歯を作らないように、予め防ぐ(予防)」が当たり前となり“むし歯ゼロ”を目指せる時代になりました。これは、予防の概念が世の中に広まり、フッ素入り歯磨き粉の普及、家庭での食生活の変化、そして多くの方がお口の健康に関心を持つようになったおかげです。 そして、歯医者さんの存在も「歯を削る場所から、むし歯を作らない予防する場所」へ変わりつつあります。
しかし、その一方で、歯医者さんへの定期的な通院が習慣化されていない現実もあります。 「むし歯がないから、歯医者さんへ行かない」 「毎日フッ素入り歯磨き粉を使っているから大丈夫」 「歯の掃除だけなら、歯医者さんでなくても家でしているから」 などの声を聞くことも少なくはありません。 では、なぜ歯医者さんに行く必要があるのか?気になりますよね!
ここからは、予防歯科について書いていきます。
歯医者さんは、歯の掃除をしてくれるだけ?
お家での歯磨きで歯ブラシだけを使用した場合、落とせる汚れ(歯垢)は約60%程度と言われています。 歯ブラシに加えてデンタルフロスを使うことで、約85%程度まで綺麗にすることはできますが、残りの約15%の汚れは、お家での歯磨きで完全に除去することは難しいと言われています。そして残った歯垢はむし歯や歯周病を引き起こす原因になりかねません。この15%の磨き残し(歯垢)は歯科醫院で除去することが出来ます。だからこそ、歯医者さんでの定期的な予防処置&管理が必要です。
歯科醫院の予防処置・定期健診では以下のような検査・処置を行います。
- ① PMTC(Professional Mechanical Teeth Cleaning:専門職のスタッフ(歯科医師・歯科衛生士)による機械を使った歯の清掃)を受けることで、お口の中の細菌の数をぐっと減らす事ができる。
- ② 歯科医院専用の高濃度フッ化物を利用し、歯の質を強化させることによってむし歯になりにくい状態にする。
- ③ 歯茎の状態を検査し、歯肉炎や歯周病の状況を把握して、歯石・歯垢の除去やブラッシングのポイントを伝えることで歯茎の健康を守る
- ④ 様々なお口のトラブルが起こらないようにむし歯や歯周病のチェックだけではなく、歯並びのチェックなどを行い、問題が起こる前に確認し、健康な状態を維持できるようにする。
例えば、この夏大活躍だったエアコン。 普段、ご家庭でお手入れができる範囲は限られていますよね。シーズンが終わると、内部まで専門家にしっかりクリーニング&メンテナンスをしてもらうことで、翌年も綺麗な状態で気持ちよく使い続けることができます。
お口のケアも同じで、ホームケア(普段の歯磨き)とプロケア(歯科の定期健診など)の両方をうまく使い、良い状態を長く維持することができると良いですね♪
小さい頃からの習慣が一生の健康を左右する
子どもの頃から、定期的な歯科検診を受ける習慣をつけることは、お口の健康を保つためにとても大切です。
むし歯も歯周病も歯並びも、生活習慣病の一種です。毎日の生活習慣によって発症・進行することがあり、逆に言えば生活習慣を整えることで予防することも可能です。生活習慣は知らず知らずのうちに身についており、大人になってから学び・身につけることは少ないのではないでしょうか?
だからこそ、小さいうちから「予防のために歯科医院に通う」習慣をつけておくことが大切です。
それぞれの予防法
むし歯を予防
食べるものの質やタイミングで食生活習慣を整える。
食べたら磨く・歯ブラシやデンタルフロスを使う・低濃度フッ化物利用の習慣化。
歯医者さんでPMTCを受けることなど、むし歯を発症させないようにする。
また、定期健診で初期う蝕(まだ穴が開いていない状態のむし歯)の段階で早期発見することで、原因を解決し穴が開かないように予防することが可能です。
歯周病予防
歯周病菌にも様々な種類があり、その中でもレッドコンプレックスと言い「歯周病を進行させる能力の高い菌の集合体」がいます。この菌が、お口の中に定着してしまうと、なかなか厄介で歯周病をどんどん進行させてしまいます。レッドコンプレックスの感染時期は、小学校高学年から18歳くらいまでの間と言われています。この菌たちは、酸素が少ない環境を好む特徴があり、深い歯周ポケットに存在するため、歯茎の健康な状態を保って歯周ポケットを深くしないように予防することで感染しない、させないことができます。
そのためには、お口の中の汚れ(歯垢)をしっかり落とし続けることが大切です。
歯並び予防
歯並びは生活習慣(食べる・話す・姿勢・鼻呼吸・表情)などに左右されます。例えば、口呼吸。様々な原因や癖で口で呼吸する習慣がついていると、歯並びや噛み合わせにも影響します。
歯科矯正治療で歯並びを治したとしても、口呼吸が改善されなければ、歯並びが後戻りする可能性も高くなります。そのような習慣を悪習癖と呼び、早期発見早期改善(治療)をすることで歯並びを悪くさせない予防ができます。
口腔機能低下症の予防
口腔機能低下症とは、加齢だけでなく、疾患や傷害など様々な要因によって、お口の機能が低下していく症状のことを指します。この症状を放置すると、摂食嚥下障害(食べ物を口に運び、咀嚼し、飲み込む過程に問題が生じる状態)などを引き起こし、低栄養・筋肉や心・身体機能の低下など、全身の健康を損ないかねません。
最近、活舌が悪くなった・わずかにむせる・食べこぼしが増えた・口が渇きやすいなど、気になることはありませんか?もしかすると、口腔機能低下症の一歩手前まできているかもしれません。
実は、口腔機能の衰えと身体の衰えには相関関係があると言われています。 歯が残っていても、舌の力・唾液量などお口の機能が衰えていると食事がうまくできないことがあります。また、食べる機能が低下していると硬めの食事がとりにくくなり、たんぱく質や食物繊維などが不足し、栄養が偏りやすくなります。
歯科では、口腔機能の検査や管理をすることで、口腔機能低下症の予防をすることが出来ます。まずは、ご自身のお口の状態を知るために、歯科醫院の受診をおススメします。
口腔機能発達不全症の予防
「口腔機能」とは、「食べる」「話す」「呼吸する」などの、お口周りに関する基本的な機能のことです。これらの機能が十分に発達していないか、正常に獲得できていない状態のことを口腔機能発達不全症といいます。
該当する人は年々増加しており、最近のデータでは約5人に1人の子どもに「お口ポカン」や「いびき」といった口腔機能発達不全症のサインが見られると言われています。 一方で、口腔機能発達不全症という病名を知らない方もまだまだ多くいらっしゃいます。
口腔機能発達不全症の原因は、口呼吸や指しゃぶりなどの悪習癖と言われています。例えば、口呼吸だとお口周りの筋肉の発達・顎の発達を阻害し、歯並びや噛み合わせにも悪影響を及ぼします。
たとえ大人になって矯正治療で綺麗な歯並びにしたとしても、こういった悪習癖があると、矯正前の状態に少しずつ戻っていく後戻りに繋がります。
成長段階から正しい口腔機能を身に着けることで、きちんとしたお口の成長を促すことが大切です。歯科醫院では口唇や舌など、お口周りの機能をトレーニングすることができます。トレーニングを通して、悪習癖を無くし、正しい機能を獲得することで、口腔機能発達不全症を予防・治療していきます。
お子様のお口を見て、口が空いている・くちゃくちゃ音を立ててご飯を食べているなど、少しでも気になることがあれば気軽にご相談ください。
親子が笑顔で通える歯医者さんへ
小さい頃から歯医者さんに通うこと・お口に触れることに慣れることで、歯医者さんを怖がることなく、定期的に通うことができます。そして、子どもが楽しく通える歯医者さんを選ぶことは、お口の健康を習慣づける上でとても重要です。子どもが楽しく通える歯医者さん選びのポイントを4つご紹介します。
①子どもの目線に立った診療
子どもがリラックスできるような雰囲気作り、分かりやすい説明、丁寧な治療をしてくれる。
②予防に力を入れている
定期的な検診やクリーニング、フッ素塗布、歯並び予防など、予め困りごとが起こらないよう予防処置などに力を入れている。
③小児歯科専門スタッフがいる
大人は子どものミニチュアではないので、小児歯科の専門知識を持ったスタッフが子どもの発育段階に合わせた診療を行うことができる。
④親身になって相談に乗ってくれる
一人一人に寄り添った対応をしてくれ、歯に関する悩みや不安を相談できる。
小さなうちから予防歯科に通う習慣をつけるために、当院ではこんなことをしています
- ・歯磨き指導、食育など、予防に関するアドバイス
- ・親子で参加できるイベント開催
- ・お口の機能(食べる・話す・呼吸)をサポートするトレーニング
- ・妊娠期のお口のケア
- ・離乳食サポート
まとめ
いかがでしたか?「むし歯ゼロ」の時代だからこそ、歯医者さんへの定期的な検診を習慣化し、一生涯自分の歯で安心安全に美味しく食べることができたら嬉しく思います。
この記事の監修者
院長:政久 直紀
経歴
- 広島大学歯学部 卒業
- 医療法人光済会 森本歯科医院 勤務
- 医療法人明生会 明生会歯科診療所 院長
- 政久デンタルオフィス 開業
- 政久歯科醫院 移転開業
- 医療法人社団BLISS 開設
虫歯・歯周病になりやすい人とは?その予防法も紹介!|岡山にある歯医者【政久歯科醫院】
2024年12月2日
虫歯や歯周病は、多くの方にとって気になる問題です。放っておくと、痛みが出たり、歯を失う原因になりますが、日々の生活習慣やケアなど少しの意識と予防でリスクを減らすことができます。今回は、「虫歯になりやすい人」「歯周病になりやすい人」、さらには両方になりやすい人の特徴や、それぞれの予防法についてご紹介します。
虫歯になりやすい人
以下のような習慣がある人は、虫歯になりやすい傾向があります。
- ● 甘いものや炭酸飲料を頻繁に摂取する
- ● 唾液の分泌量が少ない(緩衝能が低い)
- ● 歯並びが不揃いで、歯磨きが届きにくい箇所がある
- ● 矯正治療中で固定式の器具を使用している(器具の周囲が磨きにくい)
虫歯は、糖分をエサにする細菌が酸を生成し、歯を溶かすことから始まります。自分の生活習慣を少し意識して、歯磨きと食生活を整え、歯科で定期的にチェックを受けることで、虫歯のリスクを大きく減らすことができます。
虫歯を防ぐためには、食後の歯磨きやフッ素入りの歯磨き粉の使用が大切です。また、唾液には酸を中和する働きがあるため、唾液の分泌を促す習慣も効果的です。
年代別:虫歯リスクと予防法
ここからは、年代別にその時期に起きうるリスクとその予防法をお伝えします。
乳幼児・小児期(0~12歳)
母乳・ミルク・離乳食を経て、様々な食材が食べられるようになってくると、甘いお菓子やジュースをよく飲むようになる子が増えてきます。お菓子や甘い物を「全く食べてはダメ!」ではなく、食べる物の質や食べるタイミング・回数を大人がコントロールすることでリスクを減らすことが出来ます。 乳歯や生えたばかりの永久歯は、歯質が弱いため、正しい食生活に加えてホームケアではフッ素を使うこともおススメです。
この年代は、まだまだ自分一人では上手に歯磨きをすることは難しいので、保護者が仕上げ磨きをして磨き残しを減らすことが大切です。
「子供の歯をちゃんと磨けているか仕上げ磨きに自信がない」という保護者の方、歯科醫院の検診では歯科衛生士が歯磨きのポイントもお伝えしています。お子様の定期健診でご来院される際に、ぜひ担当歯科衛生士に質問してみてください。
中学生・高校生(13~18歳)
この頃は、世界も広がり、自分の出来ることや選択できることが増える時期です。 自由に選択できるようになることで、間食や炭酸飲料を摂取する機会も増えてくるため、虫歯のリスクが高くなりがちです。また、部活や勉強など生活の変化で忙しくなり、歯磨きが疎かになってしまうことも考えられます。このころまでに、正しい虫歯予防の知識を知って「だらだら食べ・飲みをしない」など間食の取り方のポイントを押さえて自分でコントロール出来るようになっていることが大切です。また、非ブラシやフロスを使った歯磨きの習慣が身についていることも大切です。
成人期(19~64歳)
この時期、特に注意したいのは、仕事や子育て・家事で忙しく、偏った食生活になること。 また、ストレスや生活習慣の乱れの影響で、唾液分泌が減少し、お口の中が乾燥しやすくなることで、虫歯のリスクが上がることです。毎日の歯磨きでしっかり汚れを落とし、規則正しい生活をすることが理想ですが、なかなか難しい場合も多いと思います。
虫歯が出来て、治療が必要になると通院回数が増えて、さらに忙しくなったり、途中で治療(通院)を辞めてしまったりと、どんどんと状況が悪くなることもあります。 だからこそ、定期的に歯科でチェック・クリーニングを受けて、虫歯のリスクを少しでも減らすことをおススメします。
忙しい中でも「ここだけは押さえておいて!」という歯磨きのポイントもお伝えします。
高齢期(65歳以上)
年齢を重ねると、だんだんと唾液の分泌量が減少し、口腔内が乾燥しやすくなります。また、身体の疾患があれば、薬の影響でお口が乾燥する「ドライマウス」になりやすくなります。口腔内が乾燥することによって虫歯のリスクも高まります。
さらに、丁寧な歯磨きが難しくなり、磨き残しが増えがちです。ただ、歯磨きについては使用する歯ブラシの形や大きさ・やわらかさを変えて磨き残しが少なくなるように工夫することが出来ます 歯科の定期健診では、口の動きや舌の動きなどのお口周りの筋肉が落ちていないかのチェックを行い、トレーニング方法、唾液を増やす方法など、歯磨き以外の対処法もお伝えしています。
年齢ごとに異なるリスクとそれに対応したケアが虫歯予防には重要です。
それぞれの年代で自分に合った予防を取り入れて、定期的に歯科検診を行うことが虫歯を予防するポイントです。
歯周病になりやすい人
歯周病になりやすい人には、次のような特徴があります。
- ① 喫煙者
- ② 糖尿病
- ③ 歯ぎしり・くいしばりがある
- ④ 遺伝
- ⑤ 口呼吸
- ⑥ 不適合な被せ物や入れ歯
歯周病は、歯と歯茎の間に溜まったプラーク(細菌のかたまり)によって引き起こされます。初期症状が少ないため、気づかないうちに進行してしまうこともあります。また放置してしまうと歯が抜ける原因にもなります。
歯周病を予防するためには、正しい歯磨きとともに、歯間ブラシやフロスを使って歯と歯の間をしっかり清掃することが大切です。また、喫煙は血流に悪影響を及ぼし、歯茎の健康を損ねるため、タバコを吸う人は禁煙を意識することも歯ぐきの健康に繋がります。
年代別:歯周病のリスクと予防法
歯周病になりやすい人の特徴は、年齢によっても異なるので、年齢別にリスクと特徴・予防法をお伝えします。
若年期(10~20代)
いわゆる思春期には、ホルモンバランスの変化によって、歯茎が腫れやすくなることがあります。また、正しい歯磨きが習慣化していない場合は歯と歯茎の境目に汚れ(プラーク)が残りやすく、歯周病の原因になります。
歯間ブラシやフロスを使って、歯と歯の間を清潔に保つなど、正しい歯磨きの習慣を身に着けることが大切です。
成人期(20~40代)
仕事やプライベートでのストレスから睡眠不足など、生活習慣の乱れが歯周病を悪化させやすくします。
また、20歳を超えて、飲酒や喫煙が始まることも歯ぐきに悪影響を及ぼします。もちろんご家庭での歯磨きなどのセルフケアが正しく出来ることが理想ですが、忙しさから十分なセルフケアが難しいという方も多くおられます。定期的に歯科醫院でのチェックやクリーニングで、歯周病の早期発見・歯石除去などのプロケアを受ける事で歯周病の予防します。
中年期(40~60代)
虫歯と同様で、年齢を重ねるとともにだ液量が減少し、お口の中が乾燥しやすくなるため、口腔内の細菌量が増えることがあります。40代頃から「歯ぐきが下がる」「歯がグラグラする」など、歯周病の症状が現れやすくなってきます。
歯間ブラシやフロスを活用して、歯周ポケットを清掃すること、また唾液分泌を促す習慣(だ液マッサージなど)を身に着けることが大切です。歯間ブラシやフロスについて、自分のお口に合った使い方は、定期健診の中でもお伝えしています。
高齢期(60代以上)
更に年齢を重ねると、免疫力が低下し、歯茎が細菌に対して抵抗しにくくなるため、歯周病が進行してしまうことがります。また、糖尿病や心疾患など全身疾患の影響・お薬の副作用で口腔内が乾燥することで、歯周病の進行・悪化につながることもあります。
全身の健康管理と歯周病の関連を意識して、医科と連携しながら、歯周病の進行をコントロールできるよう、定期的な歯科通院を続けることが大切です。
それぞれのライフステージや生活環境に適した予防・ケアを行うことが、歯周病のリスクの予防につながります。
虫歯と歯周病の両方になりやすい人
虫歯や歯周病が両方進行しやすい人には以下のような共通点があります。
- ・食後に歯磨きを怠りやすい
- ・不規則な生活やストレスを抱えている
- ・定期的な歯科検診を受けていない
生活リズムや食事の乱れ、ストレスは口腔内環境の悪化につながり、虫歯・歯周病の両方の疾患を引き起こす原因となります。
規則正しい生活・食事・歯磨き(ホームケア)を行うことも、虫歯・歯周病の予防につながります。
この記事の監修者
院長:政久 直紀
経歴
- 広島大学歯学部 卒業
- 医療法人光済会 森本歯科医院 勤務
- 医療法人明生会 明生会歯科診療所 院長
- 政久デンタルオフィス 開業
- 政久歯科醫院 移転開業
- 医療法人社団BLISS 開設