妊娠中に歯の治療は可能ですか?
2017年9月1日
妊娠中も歯科治療できます。
妊娠中の歯科治療で一番に心配になるのが、レントゲン検査や麻酔、投薬ではないでしょうか。基本的に、妊娠中にレントゲン検査を受けても、胎内の赤ちゃんへの被ばくの影響はほとんどないとされています。また、歯科治療で使用される局所麻酔は患部周辺にしか停滞しないため、赤ちゃんに影響がおよぶことはないとされています。お薬については、妊娠中に使用できないものがありますので注意が必要ですが、赤ちゃんへの悪影響が報告されていない安全なお薬が処方されますのでご安心ください。虫歯治療や歯周病治療のような一般的なものであれば、妊娠中でも歯科治療は可能です。治療の時期についてや、特別な治療(親知らずの抜歯など)で妊娠、授乳期を避けた方が良い場合もありますので、歯科医師とよく相談のうえ進めることが大切です。 (さらに…)
抜歯の必要ありーには理由があります。
2017年7月21日
こんにちは、政久歯科醫院 院長の政久です。
お暑い日が続いておりますが、お元気にお過ごしでしょうか?
夏の土用のこの季節の強い日差しのことを「土用照り」というそうです。
くれぐれも熱中症に気を付けてお過ごしください。
この歯、抜歯しなければいけませんか?
さて、歯科医院で「この歯は、抜かなければなりませんね。」と告げられると少なからずショックを受けられることと思います。
「抜かない治療」=「良い歯医者」と思われているかもしれません。
歯を残すための治療に最善を尽くすのは当然のことですが、抜歯すべき歯を、抜歯すべきタイミングで抜歯していないために、状態がかなり悪化してしまうケースがあります。
治療により抜歯をせず状態が改善できれば良いのですが
そのように出来ない場合があります。
例えば
①進行しすぎた歯周病
②根の中まで進んだ虫歯
③大きくなりすぎた根の先の炎症
④歯の根が割れてしまっている場合
⑤横や斜めに生えている親知らず
などの場合です。
治らないまま使い続けると骨や歯肉のダメージがどんどん広がってしまい、周りの歯が悪くなってしまう事もあります。
それを食い止めるために抜歯も場合によっては必要ということです。
歯を残す治療が大切なことはもちろんですが、抜歯の判断を誤らないことも総合的なお口の健康を維持してゆくためには大切なことです。
歯周病がアルツハイマーのハイリスク因子!?
2017年7月16日
アルツハイマー症状 歯周病で進行?!
歯周病は、「狭心症」「心筋梗塞」「脳梗塞」「糖尿病」「誤嚥性肺炎」「骨粗鬆症」などの誘因になり、健康を阻害する重大なリスクファクターになる事実が判明している(日本臨床歯周病学会より)。
そして今年5月、日本大学歯学部の落合邦康特任教授(口腔細菌学)らの研究チームによる最新研究で、歯周病を放置すれば、約300種類もの歯周病の原因菌が産出する「酪酸」が、「アルツハイマー病」の発症リスクを高めるとする研究が、初めて発表された。
アルツハイマー病は認知症の原因疾患の一つ
アルツハイマー病とは、徐々に脳細胞が死んでいく、脳の神経細胞が減少する、脳の中で記憶を司る「海馬」を中心に脳全体が萎縮するというような変化が現れる病気で、現在、約500万人とされる認知症患者のおよそ7割(約350万人)はアルツハイマー型認知症と推定されている(厚生労働省「認知症施策推進総合戦略 新オレンジプラン」)。
歯周病は日本人の8割が罹患
厚生労働省の『平成26年度 国民医療費の概況/患者調査の概況』によると、「歯肉炎」や「歯周病」の患者数は331万5000人 (男性137万3000人、女性194万2000人)。歯周病の有病率は20代が約7割、30~50代が約8割、60代は約9割にのぼる。
歯周病とは、歯垢(プラーク)の中の細菌によって歯肉に炎症をひき起こし、やがては歯を支えている骨を溶かしていく病気のことで、結果的に歯を失う原因となる。
歯垢(プラーク)は取り除かなければ硬くなり、歯石と言われる物質に変化し歯の表面に強固に付着。 これはブラッシングだけでは取り除くことができず、この歯石の中や周りに更に細菌が入り込み、歯周病を進行させる毒素を出し続ける。
歯周病菌が産出する「酪酸」がアルツハイマー病の一因か?!
研究チームは歯周病の原因菌(レッドコンプレックス)となるP.g.菌(ポルフィロモナス・ジンジバリス)、T.f.菌(タネレラ・フォーサイセンシス)、T.d.菌(トレポネーマ・デンティコラ)などが生成する「酪酸」が歯周細胞内に取り込まれると、鉄分子(ヘム)、過酸化水素、遊離脂肪酸が過剰に産出されるため、酸化ストレスによって歯周細胞が破壊されることに注目した。(※酪酸は口臭の原因の一つでもある。)
さらに研究チームは、「酪酸」が動物の脳にどのような影響を与えるのかを調べるために、健康なラット3匹の歯肉に酪酸を注射。6時間後に、記憶を司る「海馬」、ホルモンの分泌に関わる「松果体」と「下垂体」、さまざまな高度な活動を司る「大脳」、運動機能を調整する「小脳」が受けた酸化ストレスを分析した。
その結果、「酪酸」を注射したラットは通常のラットに比べ、鉄分子(ヘム)、過酸化水素、遊離脂肪酸の濃度が全ての部位で平均35~83%も上昇していた。
特に「海馬」での上昇率が最も高く、ヘムは平均79%、過酸化水素は平均83%、遊離脂肪酸は平均81%、アポトーシス(細胞死)を誘導するタンパク質分解酵素のカスパーゼは平均87%も濃度が上昇。さらに、アルツハイマー病の患者の脳神経細胞内で物質輸送に関わるタンパク質の「タウ」の量が平均42%も増加していた。
分かりやすく説明すると
口腔内で歯周病菌が酪酸を作り、その酪酸が血管を通じて身体に侵入し、脳へ到達すると鉄分子を過剰に生成する。そしてこの鉄分子が脳の中の海馬という部分で脳細胞を破壊するというメカニズム。海馬は記憶をつかさどる器官であるため、その力が衰えてくると、アルツハイマー症状が進行する、というもの。
落合特任教授によれば、歯周病患者の歯周ポケットからは健常人の10~20倍もの酪酸が検出されることから、歯周病巣の酪酸が長期間にわたって脳内に取り込まれると、アルツハイマー病を引き起こす一因になるので、早めに治療をすべきだと指摘している。
歯周病かどうかの見分け方
- ・朝、口の中がネバネバする
- ・口臭がきつい
- ・歯を磨くと歯茎から血が出る
- ・歯茎が赤く腫れている
- ・歯が長くなったような気がする
- ・歯に物が挟まりやすい
- ・歯茎が痛い(かゆい)
- ・固いものを噛めない
上記8つのうち、3つ以上当てはまる場合は要注意!!
まとめ
現在では歯周病は、予防でき治療も可能な病気。 大切なのは予防、診断、早期治療、そしてメンテナンス。
「不治の病」とさえ言われていた歯周病も、現在では進行を阻止することが可能となり、健康をとりもどすことができる。まず、歯周病の原因である歯垢をためない、増やさないことが基本。そのためには・・・
- 正しい歯ブラシの方法でのブラッシングを毎日実行し、歯の表面を歯垢のない清潔な状態にしておく事が何より大切。
- 歯肉の中まで入っている歯石を完全に取り除き、さらに根の表面を滑らかにして炎症を引き起こす細菌を徹底的に除去すること。
- 傷んだ歯肉、骨を治療して健康に近い歯肉にすること。
- お口の健康の保持のため歯科衛生士による専門的なクリーニングなどのメインテナンスを定期的に受けること。
歯科医院での定期的な健診とメインテナンスでお口の健康を守ることは、アルツハイマーの予防にも役立つ!!
若い方でも歯周病!!
2017年2月21日
こんにちは、二月も終わりに近づいてきましたが、まだまだ寒い日が続いております。寒中に可憐に咲く梅の花をみると、その健気さに心打たれます。華やかな桜の季節前の静かに春を待つこの時期が、とても好きな歯科衛生士 岡嶋です。
さて、先日「全身の健康はお口に通ず」で歯周病のことに触れましたが、若い方は「自分には関係ない」と思われていませんか?
確かに歯周病罹患率は年齢とともに増えていく傾向がありますが、25~34歳では20%位の罹患率となっており、当院におきましても若い方の進行した歯周病を見かけることがよくあります。
歯周病が始まる年齢=20代
歯周病は、20代から徐々に発症してくる場合が多いといわれています。
しかし、これには口腔内の常在菌(常に存在する細菌)のバランスや、歯磨きの方法、生活習慣、歯科医院での予防プログラムの実施有無によっても大きく差が出ます。
- ・たばこを吸っている
- ・糖尿病がある
- ・夜歯磨きをしていない
- ・間食が多い
- ・歯並び、かみ合わせが悪い
- ・歯医者に行ったことがない
- ・虫歯になったことがない
- ・歯科には歯が痛いときにしか行かない
このようなものに当てはまる人は、20代でもすでに重度の歯周病になっていたり、10代のうちに歯周病が始まるということも十分考えられます。
ちなみに、虫歯になりやすい年齢は20代前半ごろまでで、それ以降は徐々に虫歯にはなりにくくなってきます。
それと入れ替わるように歯周病菌が優勢となり、20代後半からは歯周病を発症する人が増えてきます。
また、「虫歯になったことがない」人に歯周病のリスクが大きい理由としては、歯にトラブルが起こらないため、歯科医院に行かないということが挙げられます。
虫歯菌が口腔内に存在しない人は、たとえ歯磨きをほとんどしていなくても虫歯にはなりません。
しかし、虫歯菌がいないからと言って、歯周病菌もいないとは限りません。
きちんとした歯磨きをする習慣がないまま、歯科医院にも行かずにいると、虫歯は1本もないのに、気がついたときには歯周病で歯を失うことになるということもあります。
歯周病は静かに、痛みなく進行していく病気であるため、歯科に行く習慣がないと、どうしても発見が遅れてしまう傾向にあります。
政久歯科醫院での歯周病治療の流れは次のようになっております。
歯周病治療の流れ
歯周基本治療(STEP.1~STEP.3)
STEP.1 検査(基本・精密検査、レントゲン診査など)
まず、症状に対する応急処置をします。治療計画を立て、治療方針をご相談します。
STEP.2 プラークコントロール
プラーク(歯垢)コントロールの基本は、あなたの毎日のハミガキです。
あなたに合ったブラッシング方法を指導します。
STEP.3 歯周病初期治療(原因除去療法)
プラークコントロール(患者様:歯肉縁上+術者:歯肉縁下)により炎症を緩和して、歯石の除去・かみ合わせの改善などを行うことにより、歯周病の原因を取り除きます。
※歯周基本治療(STEP.1~STEP.3)を経てSTEP.4の再検査の結果、完治が困難だった場合は、次のSTEP.5に進みます。
STEP.4 再検査
検査結果を基に、再度治療計画を立てます。重症で症状が改善しない場合は歯周外科手術が必要です。
基本治療で完治した場合は、メインテナンスに入ります。
STEP.5 歯周外科手術(歯周病の中等度~重症の時、必要に応じて)
歯周病の原因を取り除いても治らないほど重症な場合、歯周外科手術が必要な場合があります。
フラップ手術(モディファイドウイッドマン法・アピカリーポジションド法)
歯肉をめくり、歯根の奥深くについた歯石を除去、不良な病巣の肉を除去して再び縫合して戻し、歯周ポケットを取り除く手術です。
歯周組織再生療法(EMD法・GTR法など)
歯周再生療法、骨移植法とは、中等度以上の歯周病で失われた歯周組織を元に戻す治療です。
すなわち歯周病で破壊された歯の周りのセメント質、歯根膜、歯槽骨などを再生する治療です。
そして歯の周りの歯肉は蘇り、プラークコントロールしやすい歯肉になります。
エムドゲイン(EMD法)は、スウェーデンで開発された歯周組織再生用材料です。
GTR法は、人工の膜を用いて骨が出来るまで歯肉の侵入を防ぐ方法です。
歯肉歯槽粘膜形成手術(遊離歯肉移植術・結合組織移植手術・小帯切除など)
抜歯などにより陥没した歯肉にボリュームを与えたり、露出した歯根面を歯肉で覆うことが出来ます。
STEP.6 メインテナンス
歯周病は再発しやすい病気です。お口の健康を維持するためには、定期的なクリーニングと歯科健診が必要です。若いうちから、お口の健康を守ることで全身の健康も守りましょう。私たちがお手伝いさせて頂きます。