フッ素について|岡山にある歯医者【政久歯科醫院】
2024年7月1日
皆さん、フッ素ってご存知ですか? 「虫歯予防のためにフッ素を塗りましょう」ってよく聞きますよね! しかし、その一方で「フッ素は塗らない方が良い」「身体に悪い」「危険」という話も聞いたことがあるのではないかと思います。 でも実のところ、よく知らないし分からないけど、みんな塗っているし、 歯医者さんで定期検診の時に「フッ素つけておきますね〜」って言われたから 塗っているってことはないですか? そこで今回は、 フッ素についてお話しします。
目次
① フッ素って何?
フッ素とは・・・フッ素(正式にはフッ化物・フッ素化合物)は、虫歯菌の出す酸に抵抗できる歯(溶かされにくくする)をつくったり、虫歯菌の活動を抑制する効果があります。 フッ素はほとんどの食品に含まれるミネラル成分の1つで、魚介類や野菜、肉、牛乳、塩、お茶の葉っぱなど、多くの食品に含まれており、ビタミン類の様に、毎日摂らなければならない必須の栄養素に位置付けられています。特別なお薬というわけでなく、人間の体内では13番目に多く存在する元素と言われています。 日常的に私たちの周りに存在するものだとわかれば安心ですね。 では、「えっ??フッ素は安心安全ってこと?なんで塗らない方が良いって言われるの?」となりますよね。 実は、フッ素単体(F2)の状態だと猛毒だからです。実は、私達の身近な自然界にはフッ素単体では存在せず、形を変えた状態に変化している&ごく微量のため、食べたり飲んだりしても、いきなり《フッ素=危険》にはなりません。 しかし、一度に大量のフッ素を取りすぎると、副作用(急性中毒/慢性中毒)が起こることもあります。
②安全性について
*安全性とは:ある物事についての安全(リスクが許容可能な水準に抑えられている状態)の度合いのこと 例えば、 生きていく上で必要な「塩分」。個人の体の大きさ(体重)や状態(病気の有無など)によって、1日の摂取目安量がありますよね。 適量取ることで、元気に生活できますが、必要以上に取り過ぎると、病気を引き起こす原因となります。 フッ素も同じく、体重によって摂取量の目安が決まっています。 たくさん歯に塗ったからといって、虫歯予防効果が高くなるものではないので、量や使用方法を守ることが大切です。 (詳しく知りたい方は、こちらをご確認ください)
急性中毒
下痢や嘔吐・吐き気・痙攣(けいれん)などが起こる フッ素の急性中毒は2~4mg/kgとされており、体重10kgであれば20mgのフッ素で中毒症状が出る可能性があります。 950ppmで計算すると, 約20kgのお子様が、フッ素ジェル(950ppm/60g)1.7本を一気に飲み込むと中毒量に達する可能性があります。 約60kgの大人であれば、5本程度の計算になりますね💦 その量を飲み込もうと思うと、飲み込めなくはないが、ちょっと無理ですよね・・・ 基本的にはお薬ですのでお子様の手の届かないところでの管理をお願いしています。 また、フッ素は蓄積されることもないので安心してお使いいただけます。
◆低濃度フッ素:日本の薬事法で定められている濃度(500〜1500ppm)でご自宅で毎日使うことによって効果を発揮します。
◆高濃度フッ素:低濃度の約10倍の濃度で、歯科医院や保健所などで塗ってもらうことができます。年に3〜4回程度塗ってもらいましょう。
③塗るとどうなるの?
フッ素には、3つの働きで虫歯の発生と進行を防ぐ効果があります。
1)エナメル質の修復を促進
酸により歯から溶け出したカルシウムやリンを補うこと(再石灰化)を促進します。
2)歯の質を強化
歯の表面を覆うエナメル質を、酸に溶けにくい性質に変え、ムシ歯への抵抗力を高めます。
3)菌の働きを弱める
ムシ歯を引き起こす細菌の働きを弱め、酸がつくられるのを抑えます。
④フッ化物が入っている歯磨き粉の効果的な使い方
◆量
【年齢・お口の中の状況の目安】
*1歳6ヶ月・乳歯の奥歯が生え始め頃:米粒〜小豆(1〜2mm)程度:500〜1000ppm以下
*3歳頃・乳歯が全て生えそろう(20本)頃:グリンピース(5mm)程度:1000ppm以下
*6歳〜・永久歯が生え始め〜生え揃う頃:大豆1個〜2個(1〜2cm )程度:〜1500ppm
◆歯の表面にできるだけ長く留める=うがいは最小限でOK!
ブクブクうがいができないお子様は、歯ブラシで汚れを取る→歯ブラシ洗って水気を切る→フッ素を塗り込む→ その後は飲食を控える うがいができる年齢であっても、フッ素を塗り込んだ後は、うがいはペットボトルのキャップ1杯程度で軽く済ませることをおすすめしています。 ※就寝前(夕食後)がベストタイミング(最低でも30分は飲食を控える)
◆歯の萌出状況も要確認!
奥から2番目(乳歯)が生え始めたら、フッ素を塗り始めましょう。 いつまで塗るかと聞かれることも多いのですが、短くても12歳臼歯(大人の歯の一番奥)が生えて3年間くらいは特に歯科医院での高濃度フッ素塗布をおすすめしています。 また、日々の生活の中で、歯磨き粉(低濃度フッ素配合)を使用することも大切です。 虫歯のリスクが高い歯の根の部分が見えてきている方は、特に定期的に歯医者さんで検診を受け、継続的に高濃度の歯科専用フッ素を塗ってもらうと良いかもしれませんね。
◆歯磨き粉はフッ素の濃度の記載があるものを選ぼう!
歯科医院や薬局やインターネット販売など様々な場所で購入することができます。 濃度(年齢お口の中の状況の目安参照)、フッ素配合(記載名:フッ化ナトリウム・フッ化第一スズ・モノフルオロリン酸ナトリウム)、濃度、タイプ(泡/スプレー/ジェル)、お子様の年齢や歯の萌出状況、家庭で毎日使える味やタイプによって選べるといいですね!選ぶポイントがわからない時は、いつでもお気軽にご相談ください。 ※うがいができない/不安(目安:3歳未満):スプレーやジェルなど研磨剤などの入っていないものを選び、塗るだけでOK! ※うがいができる(目安:4歳以上):歯ブラシで汚れを取り、ジェルタイプを塗り込み、その後は、ペットボトルのキャップ1杯程度の水でうがいをする
⑥ フッ素は魔法の薬ではない?!塗らなくても虫歯予防はできる♪
ここまで「フッ素=虫歯予防に効果的」とお話ししてきました。 フッ素は歯磨きが出来てこそ効果があります! がしかし。。。歯磨きが出来て、フッ素を積極的に取り入れていても、残念ながら虫歯になることがあります。 なぜならば、虫歯には食生活が大きく関係しているからです。 虫歯は、虫歯菌が出す酸によって、歯が溶かされることにより穴が開き進行していきます。酸が口の中に出ている時間や回数が長ければ長いほど虫歯になるのです。 食事3食以外で、間食回数が2回までは虫歯になりにくく、3回以上では虫歯になりやすいという、研究結果もあります。 食事以外で、おやつやジュースを3回以上食べたり飲んだりしている食生活の場合は、フッ素を積極的に取り入れる前に、まず食生活を見直すことから始めることをお勧めします。 いやいや!ちょっと待って!! ただ、子育て中の間食は、母にとってマストアイテムの一つであり、時として救世主! そんなの無理無理〜〜〜 そりゃそうですよね! そんな時は、ぜひ一度相談に来てください!
子育て&歯科衛生としての知識と経験から、フッ素の有効活用方法と食生活、お母さん目線からの様々な角度から、母子共に無理なく虫歯予防ができる方法を一緒に考えます。
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この記事の筆者
歯科衛生士:中島加奈
プロフィール
- 歯科衛生士歴22年
- 米粉ナチュラルアドバイザー
- 3児の母
- お口育て教室・離乳食講座開催
この記事の監修者
院長:政久 直紀
経歴
- 広島大学歯学部 卒業
- 医療法人光済会 森本歯科医院 勤務
- 医療法人明生会 明生会歯科診療所 院長
- 政久デンタルオフィス 開業
- 政久歯科醫院 移転開業
- 医療法人社団BLISS 開設